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放送の未来予想

次回へのリンク → 第2回: これから、どのような情報取得体験が可能になりますか?

第1回:はじめに (2024年12月26日)

数年以内に、各放送局が放送システムの更新を計画しています。この計画の中核には、IP技術を活用したシステムの高度化と効率化が据えられています。

しかし、以下のような疑問が浮かびます。

  • この計画は、生成AIが登場する以前に立案されたのではないでしょうか?
  • 生成AIによって放送業界が大きく拡大する可能性がある中で、この枠組みは十分に対応できるのでしょうか?

社会が大きく変化する中、過去に決めた枠組みを維持し続けることにはリスクが伴います。
そろそろ、現在利用可能な技術に合せて、枠組み自体を作りなおす時期ではないでしょうか。

この度、私たちは「放送の未来予想」と題して、新しい枠組みを表現するイラストを作成しました。

放送の未来予想イラスト

このイラストの背景には、次のような考えがあります。

  • すべての関係者が現在以上の収益を確保可能かつ、新しいプレイヤーが参入しやすい仕組みをつくる。
  • AIの活用は今後不可避である。
  • 新技術は、既存システムの効率化にとどめず、新技術に適した新システムの構築にこそ活かすべきである。

この新しい枠組みでは、放送業界はネット業界と対等となり、それぞれの強みを活かして全体の規模拡大が期待されます。

今後、このイラストを基に、周辺環境まで含めたシステム全体を構想していきます。
すでに検討済みの事かもしれませんが、1つの提案としてお届けできれば幸いです。

【個人が見る情報を選ぶのは誰?】

個人が同時に集中できることは1つだけです。そのため、限られた時間の中で得る情報には自然と制限が生まれます。

例えば、スマートフォンで情報を得る、ネット動画やテレビを見る、ゲームをする──これらはすべて、その瞬間に個人が選択した結果です。

これまで、こうした情報の選択は完全に「個人」に委ねられてきました。

しかし、パーソナル アシスタント AI(PAI)の登場によって、この構図は変わっていきます。

今後、個人が得る情報は、その人の要望やに基づいてPAIが選択する時代がやってくるのです。

【情報の選択をAIに任せることへの抵抗感】

確かに、情報の選択をAIに任せることに、抵抗を感じる方もいらっしゃるでしょう。
私たちはこれまで、自らの意思で情報を選んできたからです。

しかし、すでに私たちは多くの場面でテクノロジーに情報の選択を委ねています。
例えば、メールシステムのスパムフィルタや、危険なウェブサイトを自動的にブロックするセキュリティソフト。これらも、情報の取捨選択をテクノロジーに任せている一例です。

そうです。既に私たちは、自分が得る情報をテクノロジーに取捨選択してもらっているのです。

PAIの登場で、この流れが変わります。

これまでは、個人がサイトやチャンネルを選んで情報を得ていましたが、これからはPAIがネット上から情報を探し出し、個人に提供するようになります。

PAIは、その個人と密接に関わる時間が長くなるため、個人の好みや、将来の目標、社会的立場なども把握します。

そして、個人はPAIが選んだ情報の中から必要なものを選ぶ、あるいはそのまま受け入れるようになるかもしれません。
現在のSNSのリコメンド機能に似ていますが、PAIは特定のプラットフォームに依存せず、ネット全体から情報を収集します。

重要な変化は、情報選択の主体が「個人」から「PAI」に移り、PAIを選択する自由が個人に委ねられる点です。

例えば、子供に与えるスマホには暴力的な情報を排除し学習意欲を促すPAIを、自分用のスマホには趣味や仕事関連に強いPAIを選ぶ、といった使い分けが可能です。

情報取得時の、URL指定やチャンネル選択が無くなる

これまでのWeb検索では、キーワードでURLを検索して、人がURLを選択することで情報源にアクセスしていました。

しかし、ChatGPTやPerplexityなどの生成AIサービスサイトを利用していると、情報源であるWebサイトを意識していないことに気がつきます。

私たちはAIを利用することで、情報源を選択せずに情報自体にアクセスようになりましたが、放送の世界も、チャンネルを選択せずに、直接コンテンツにアクセスするように変わっていくでしょう。

この状態は、PAIが個人向けの番組編成をしている状態と考えて良いと思います。


現在の放送システムは、その昔、電波で音声や映像を伝送する技術が登場したときに、その技術に適した用途を作り出した結果、生まれた物だと思います。

インターネットやAIが登場した現在、それに適した新しい枠組みを作る・・・そんなプロジェクトに参加したいとの思いで、連載を始めます。


次回以降

このような未来を実現するために必要な対策について、次のようなテーマで検討を進めます。

つづく (次回更新は、1月下旬の予定です)

※ 本稿の内容は、いずれも、弊社が信じる未来の予想に基づくもので、事実であるとは限りません。

2024年12月 株式会社トラフィック・シム

放送の未来予想へのご意見 アンケート

多くの方から伺ったお話や、各種ニュース記事、海外で見てきた業界の動向などから、放送の未来を予想してみました。

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