数年以内に、各放送局が放送システムの更新を計画しています。この計画の中核には、IP技術を活用したシステムの高度化と効率化が据えられています。
しかし、以下のような疑問が浮かびます。
社会が大きく変化する中、過去に決めた枠組みを維持し続けることにはリスクが伴います。
そろそろ、現在利用可能な技術に合せて、枠組み自体を作りなおす時期ではないでしょうか。
この度、私たちは「放送の未来予想」と題して、新しい枠組みを表現するイラストを作成しました。
このイラストの背景には、次のような考えがあります。
この新しい枠組みでは、放送業界はネット業界と対等となり、それぞれの強みを活かして全体の規模拡大が期待されます。
今後、このイラストを基に、周辺環境まで含めたシステム全体を構想していきます。
すでに検討済みの事かもしれませんが、1つの提案としてお届けできれば幸いです。
個人が同時に集中できることは1つだけです。そのため、限られた時間の中で得る情報には自然と制限が生まれます。
例えば、スマートフォンで情報を得る、ネット動画やテレビを見る、ゲームをする──これらはすべて、その瞬間に個人が選択した結果です。
これまで、こうした情報の選択は完全に「個人」に委ねられてきました。
しかし、パーソナル アシスタント AI(PAI)の登場によって、この構図は変わっていきます。
今後、個人が得る情報は、その人の要望やに基づいてPAIが選択する時代がやってくるのです。
確かに、情報の選択をAIに任せることに、抵抗を感じる方もいらっしゃるでしょう。
私たちはこれまで、自らの意思で情報を選んできたからです。
しかし、すでに私たちは多くの場面でテクノロジーに情報の選択を委ねています。
例えば、メールシステムのスパムフィルタや、危険なウェブサイトを自動的にブロックするセキュリティソフト。これらも、情報の取捨選択をテクノロジーに任せている一例です。
そうです。既に私たちは、自分が得る情報をテクノロジーに取捨選択してもらっているのです。
これまでは、個人がサイトやチャンネルを選んで情報を得ていましたが、これからはPAIがネット上から情報を探し出し、個人に提供するようになります。
PAIは、その個人と密接に関わる時間が長くなるため、個人の好みや、将来の目標、社会的立場なども把握します。
そして、個人はPAIが選んだ情報の中から必要なものを選ぶ、あるいはそのまま受け入れるようになるかもしれません。
現在のSNSのリコメンド機能に似ていますが、PAIは特定のプラットフォームに依存せず、ネット全体から情報を収集します。
重要な変化は、情報選択の主体が「個人」から「PAI」に移り、PAIを選択する自由が個人に委ねられる点です。
例えば、子供に与えるスマホには暴力的な情報を排除し学習意欲を促すPAIを、自分用のスマホには趣味や仕事関連に強いPAIを選ぶ、といった使い分けが可能です。
これまでのWeb検索では、キーワードでURLを検索して、人がURLを選択することで情報源にアクセスしていました。
しかし、ChatGPTやPerplexityなどの生成AIサービスサイトを利用していると、情報源であるWebサイトを意識していないことに気がつきます。
私たちはAIを利用することで、情報源を選択せずに情報自体にアクセスようになりましたが、放送の世界も、チャンネルを選択せずに、直接コンテンツにアクセスするように変わっていくでしょう。
この状態は、PAIが個人向けの番組編成をしている状態と考えて良いと思います。
現在の放送システムは、その昔、電波で音声や映像を伝送する技術が登場したときに、その技術に適した用途を作り出した結果、生まれた物だと思います。
インターネットやAIが登場した現在、それに適した新しい枠組みを作る・・・そんなプロジェクトに参加したいとの思いで、連載を始めます。
このような未来を実現するために必要な対策について、次のようなテーマで検討を進めます。
つづく (次回更新は、1月下旬の予定です)
※ 本稿の内容は、いずれも、弊社が信じる未来の予想に基づくもので、事実であるとは限りません。
2024年12月 株式会社トラフィック・シム
多くの方から伺ったお話や、各種ニュース記事、海外で見てきた業界の動向などから、放送の未来を予想してみました。
ご意見をお聞かせいただけると、嬉しいです。